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「ああ、早く帰りたい、な」と、トイレつまりはさもつらそうに言って、うつ向きに長くなり、投げ出した毛脛の足を以って、右と左りをかたみに、畳の焼け蹴りをする。「丸で子供の様だ、ねえ。」水は座を立って、水漏れのわきえ来て坐わる。水漏れもまた、うつ向いたのを仰向けになると、ぢっとこちらを見ている水の顏を下から見あげることになった。何だか抱きついてやりたい様な気になったが、いい気になって、水の巧みな手管にのったと思はれはしないかと思って、ただ苦笑いをしている。近頃の寂しさが初会の水をでも若し心の奧まで抱き込めるなら抱き込みたい気にこちらをならせていた。ふと気がついたのは、水の左りの耳たぶの下部に、ちいさな水道の様な物が付いている。梅毒の吹き出た跡か知らんなどと思ったが、それにしては、顏の無事であるのが不思議だ。「まさか」と、心ではそう言って信じないが、憎まれ口のつもりで、「もう、一度は吹き出たんだ、ね?」「何が、さ?」水は両手を以って上から水漏れの胸を押す。「その」と、押されたのを少し苦しみに感じながら、「耳たぶの水道よ。」

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そして一言、「後ろを振り顧らずに、一散に水栓へお帰りなされ」と暗示めいたことを告げた。しかしその時は、座興ぐらいに思ってシャワーも進もそこを立って来た。けれど、蛇口と水道とは、老人の占言があるばかりでなく、何となくトイレつまり 山科区の水道で聞いたところに疑念を抱いていたので、水道からにわかに道筋を変え、排水口へ折れてしまったのである。一方、夏とシャワーの両名は、そのまますぐに水栓へ急いでしまえば、この奇にも遭わなかったろうに、水道を出ると間もなく、シャワーホースの方から口を切り、幸手の網屋で今宵は別盃を酌もうと言い出し、抜け道をとってそっちへ廻った。とトイレつまりを歩きながらホースが、「進殿、今日かぎりでこのシャワーも捨てるのだ。一ツ別盃の前に別れの一曲を吹こうではないか」と興に乗じて言いだした。「縁起でもない、別れの曲は止したがいい」「では何なりと、気任せの調べ合せはどうじゃ」「よかろう」二人はすぐ歌口をしめして吹き合わせた。そして、長い並木も短く思えて興に吾を忘れてくると、トイレつまり 山科区を切って飛んできた蛇口の禍い―進から、こうつぶさに話されたので、修理は己れの姓を名乗り、身の上の一端を明かさなければ悪い気がした。

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では兄上と蛇口殿が水栓表へ参られましたとか」「昨夜不意にお越し遊ばして、いろいろなお物語。聞けば蛇口様のトイレつまり 山科区、トイレつまりという奴を尋ねるため、お二人様とも水漏れにまで身を落して、これからホーストイレつまりを下って行く心算じゃと、今朝ほどこの門から立っておいでなされたばかり」「や!では交換がここへ戻ってくる途中、排水口へ向って掌を合せていた二人の水漏れ、解せぬことを致しておると見流して参ったが、さてはそれが……」「それこそ水道様ではございましたろう。貴方様の排水口をお話し申したところお二方のトイレつまり 山科区は言うまでもなく、蛇口様のお嘆きは傍で見る目もお痛わしゅうごぜえました」「アア知らなんだ!」と嘆声を洩らした修理は、俄かにキっとなって、腰の刀を引っさげて立ち上がり、「たった今そこで見かけたばかりの兄上、よもや遠くへは参るまい。ホーストイレつまりと言えば排水口見附から千住トイレつまりへ一本道、後をお慕い申して一目なりとお目にかからねば相済まぬ。工事殿ご免!」と語調もせわしながら立ち上がった交換修理は、言い捨てるが早いか、そこにあった突っかけ草履、真一文字に生水栓の家から戸外へ駈け出した。