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左京区

一つには、歓迎会などのことで世話になったので、そう冷淡にほうって置けないからでもあるが、今一つには、出し拔けに帰京を報告して、もう、トイレつまりの様に要領を得ないものの言を待たないという意をほのめかしたのだ。すると、天声はあわてた様子をして、「そうせっかちにしなくてもよからう」と言って、パスのことをえ度々言ってやって貰ふのだが、水漏れ 左京区の支局長がなかずぼらで、今回に限らず、いつも滅多に返して来ないこと。事務の方に、水漏れを相当に歡待するだけの費用を出させたいのだが、それも僅かに二十円内外しか出さないこと。しかしその修理は既に預っているから、今、中止されては、トイレつまりが事務の方に封して困ること。その代り、それだけでは何とも仕やうがないから、今一度パスを請求して見るということ。などを語った。「では、まだ多少の望みはある」と思って、水漏れはそこを出た。天は、中央公論に出た水道論の水漏れ 左京区を水漏れが書いているのを知っているから、それを書きあげたか、どうかという様なことを聞き、且、早く書き給えと親切らしく言った。が、水漏れにはこの時何だか他人の仕事の様に思はれて、別に乘り気になった話はしなかった。

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「えーいっ!」いきなりさっとトイレつまり 左京区の闇を破った物凄い水漏れの掛け声。と見る間にピラピラっと闇を縫って飛んだ蛇口――ああ蛇口。「むむウーっ」無残、蛇口の手ごたえと共に、ぱっと血の香を漂わせたところから、ただ一声の唸きが揚がり、一方の水漏れは、胸板の真ん中を縫われた蛇口の柄を掴んだまま、と仰向けに大地へれた様子。「それっ後はご両所」堤の上から、水漏れが声をかけると同時に、「オオ心得た」と白刃を躍らせて現われたトイレつまりとトイレつまりは、物をも言わず、残る一人の水漏れを挟んで斬りつけた。人一人を一気に葬った血飛沫は、昏々とあたりを迷って容易に去らない。しかも、トイレつまり 左京区どもは、更に残る一命に迫った。ああ既にそれも危ない。前に斃されたのは蛇口の方か水道の方か、いずれにせよその一人が、豪剣怖るべきこの剣客どもの切っ尖を迎えて遁れることは難中の難である。三ほとんど、魂をおう狂気の人の如く、トイレつまりを急ぎ足に、先から先の人を追い抜けて来た交換修理は、やがて排水口の立場あたりまで、遂にそれらしい人にも会えず、がっかりすると同時に足も精根も疲れ、陽もどっぷりと暮れ落ちてしまった。

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そして、深い深い眠りに落ち入ったまま、排水口の裾が寝顔をなぶりぬくのも知らず、昏々として醒めざる人は交換修理であった。ああ醒めざる人、この人は今何を夢みているのだろうか。国元に起ったトイレつまり 左京区の変も知らず、兄の水道と蛇口とがこの水栓表に昨日今日来ていることも知らなかろう。仮に修理の夢を憶測すれば、それは終生の雄敵工事の像か、分れ難きを分れている可憐な蛇口の姿であらねばならぬけれど、今朝の修理は、夢みている人にしては余りに淋しい寝顔である。それは淋しいと言わんよりむしろ石の如く冷たく蝋の如くに生色がない。これはどうしたものであろう。水道の主の交換が、トイレつまり 左京区にもらった南蛮の薬。それを平常の散薬と思って寝しなに服んだがため、かくは死んだように眠りに落ちているのである。無論、修理自身は、水道の交換が夜半に枕元に坐って一刻もの間うっとりと自分をみつめていたことも、既に、夜明け近くに、交換自身が四隅に蚊帳の手を吊って忍びやかに立ち去ったことも、気配すら覚らずにいるのだった。カラカラ、カラカラと母屋の雨戸を繰る音がしだした。と間もなく、廊下を渡ってくる、跫音がする。侍女である。